A SNOWY LETTER ■ 解 説

 このドラマは、2005年秋から地上波(神戸サンテレビ)とインターネットテレビ(SSP−TV.com)で放送される鉄道ファン向け情報番組「鉄ちゃん」の中で、十数分間の連続ドラマとして放送されます。
 毎回、駅を舞台に主人公の春香と、鉄ちゃんの大学生・直樹を中心とした、人々の心のふれ合いが展開される純愛物語です。現代社会において、鉄道は、私達の生活の中に、深く密着した存在であり、人と人とを結ぶ動脈としても、なくてはならない存在です。駅から駅へと、人々を結ぶ乗り物。・・・様々な人達が共有しあう列車という空間には、また様々な人間模様が存在し、一つ一つをドラマ仕立てに垣間見ていくと、壮大なストーリーの映画へと発展していくことでしょう。
 この番組は、そんな壮大なストーリーの中から、たった一人の少女と関わる青年の物語にスポットを当て、皆様にご紹介したいと思います。彼女を通して垣間見えるモノは、普段、よく聞く些細な事なのかもしれませんが、そんな些細な事柄を描くことで、未来に受け継ぐ大切なものが見えてくるかもしれません。
 人々を目的地まで運ぶ列車。出会いと別れの舞台となる駅。改めて見つめなおすと、鉄道という存在と我々との関係は深い事に気付きます。このドラマを見て、列車や駅のホームに立つ事が、よりドラマチックに感じられる様な、こころに残る作品にしたいと考えます。
 このドラマの春のシーンを撮影した4月25日早朝、私達は製作会社近くの兵庫県にあるJR福知山線の川西池田駅に集合し、ロケ地の岐阜県長良川鉄道白山長滝駅に向けて出発しました。その数時間後、大きな列車事故が福知山線で起きたのです。丁度、春香がお守りを手に入れて神社から出てくるシーンの撮影中に、ニュースが飛び込んできました。スタッフ、キャスト共に、日々利用している区間であり、皆我が事のように悲しみました。
 我々にとっても、この事故は大きな転換点でした。「おざなりな鉄道ドラマは作れない」という気持ちにかられる毎日でした。でも、その答えは見出せずにいます。難しく考えれば考えるほど、この物語は遠くに行ってしまい、一行の台詞さえ書くのに数ヶ月かかってしまいます。
 結局、人々と鉄道の関わりを、何気ない日々の営みを、淡々と描き続けることで、現実に起きた事との対比が、見る人々によって生れるんじゃないか、何か大切なものが自然と見えてくるんじゃないかという気がしてきました。
 事故で犠牲になられた皆様の御冥福と、怪我をされた皆様の御快癒を心よりお祈り申し上げます。


                                                                                                                                     監督 釣田泰 

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